【ユーザーの動きを追跡】トラッキングの目的や方法、メリットを解説
トラッキングの代表的な方法・目的とECサイトへの活用方法
ユーザーの顔が見えないECサイトにおいては、ユーザーの行動を追跡・分析することは非常に重要です。目の前にいない、インターネット空間上のユーザーの行動を追跡する方法として「トラッキング」という技術があります。この記事では、トラッキングのさまざまな手法や目的、メリットについて解説します。
トラッキングとは?
トラッキングとは、Eコマース(ECサイト)を含めたWebサイトが、ユーザーの閲覧状況を追跡・分析することを指します。例として、ユーザーがAmazonなどのECサイトである商品ページを閲覧した場合に、どのような経路からそのページにたどり着いたのかを分析することが挙げられます。Web検索から訪問したのか、アフィリエイト広告から到達したのかによって、その後のWebサイト改善や広告戦略の見直しにもつなげられるのです。
トラッキングの仕組み
トラッキングと一口に言っても、さまざまな仕組みがあります。代表的なトラッキングの技術はCookieですが、その他のトラッキング方法についても以下に解説します。
Cookie
Cookieは、Webサイトにおけるトラッキングで広く活用される仕組みです。
特定のWebサイトを訪問した履歴やログイン情報などの履歴を記録します。
Cookieには「ファーストパーティCookie」と「サードパーティCookie」の2種類があります。
ファーストパーティCookieはユーザーがアクセスしているドメインから発行されるCookieであり、サードパーティCookieはアクセスしているドメイン以外から発行されるCookieです。
サードパーティCookieは、たとえば広告配信を行う事業者とEC事業者との間で、ユーザーの行動を分析する目的で使用されてきましたが、プライバシー保護の観点から、廃止の方向に向かっています。
IPアドレス
IPアドレスは、トラッキング以外にも広く使われる技術です。PCやスマートフォン、サーバーなど、ネットワークに接続される機器に個別に番号が割り振られます。この番号をもとに、その機器・ユーザーの大まかな位置情報を把握することができます。
ウェブビーコン
ウェブビーコンとは、ユーザーの行動を取得するために、Webサイトや電子メールなどに埋め込まれている画像のことを指します。多くの場合、ユーザーには見えない画像や小さな画像が埋め込まれています。「画像が表示された=ユーザーが閲覧した」というシグナルをアクセス解析サービスに送信する機能を持っています。
ブラウザフィンガープリント
ブラウザフィンガープリントとは、ユーザーのPCとブラウザに関するデータです。ブラウザフィンガープリントは、使っているブラウザおよびバージョン・使用言語・キーボードの配列・タイムゾーン・OSとバージョンなどのユーザーに関する情報をひとつにまとめています。これらの情報がまとめられることで、異なるWebサイト間でも同一のユーザーを識別することができます。サードパーティCookieが廃止に向かうなか、トラッキングのための新たな仕組みとして注目を集めています。
アプリトラッキング
アプリトラッキングは、スマホやタブレットなどのアプリで活用されるトラッキング技術です。
アプリ内でのユーザーの行動をはじめ、位置情報・購入商品・閲覧履歴・センサーやストレージなどの情報を収集し、トラッキングに活用します。
トラッキングの目的
トラッキングの目的には、大きく分けて「Webサイトを解析して改善する」ことと「広告の効果測定をする」ことの2種類があります。
Webサイトを解析し改善する
Webサイトのアクセス解析ツールには、トラッキングの技術が利用されています。アクセスしたユーザーをトラッキング技術によって識別・追跡し、Webサイトの中の各ページの閲覧時間や、どのようなページを閲覧したかという情報を特定します。
たとえば、閲覧数は多いのに滞在時間が短く、購入率が低い商品のページを特定し、商品説明や画像の追加・差し替えを行うといった活用方法があります。これにより、商品ページの滞在時間や購入率の向上につなげることができるのです。
広告の効果測定をする
トラッキングは、広告の効果測定でも活用されることが多い技術です。掲載している商品が購入されることは重要ですが、その商品を掲載しているページにどのような経路で到達したのかを計測しておくことは、広告の最適化施策に役立ちます。
たとえば、ある広告ではクリック数は少ないものの購入数・売上が高く、別の広告ではクリック数が非常に多いものの購入数・売上ともに低いという場合には、前者のほうが広告効果が高いと判断できます。これは商品の売上だけでは判断できず、トラッキングによって経路を特定しなければ得られない情報なのです。
トラッキングの方法
トラッキングの計測方法には「ダイレクト計測」と「リダイレクト計測」があります。この2種類の計測方法はどちらにもメリット・デメリットがあり、シーンによって活用方法が異なります。
ダイレクト計測
ダイレクト計測では、遷移先のページ内にある計測タグが読み込まれた時点でイベント(クリック)として認識されます。つまり、Webサイト上の各ページにあらかじめ計測タグを埋め込んでおくことではじめてトラッキングと計測が可能となる方法です。
ダイレクト計測は、リダイレクト用のサーバーを必要とせず、タグを埋め込むだけで計測ができるため、費用を抑えられるメリットがあります。一方で、計測したいページすべてに計測タグを埋め込む必要があるため、すでに多数のページやランディングページを展開している場合には、設定の手間がかかる点がデメリットです。また、ブラウザやデバイスの設定によっては計測タグが反応しない場合があり、計測の正確さを確保できないケースがあることもデメリットといえます。
リダイレクト計測
リダイレクト計測は、遷移先のページに移る前にリダイレクトサーバーを経由させ、カウントすることで計測を行う方法です。この方法では必ずリダイレクトを行いサーバーを経由するため、設定やブラウザの違いによる計測のズレが起こりづらく、精度の高い計測が可能である点がメリットです。
一方で、リダイレクトサーバーの利用料金が別途必要となることや、リダイレクトサーバーに障害が発生した場合は、遷移させたいページに転送されないなど、大きな影響があるというデメリットがあります。
スマートフォンにおけるトラッキングの方法
PCのみならず、スマートフォンにおけるトラッキングも重要視されています。スマートフォンにおけるトラッキングは、大きく分けて「広告識別子」と「Sensor ID」の2つの仕組みによって行われます。
広告識別子・広告ID
広告識別子や広告IDとは、広告配信のために使われる、スマートフォン端末を認識するためのIDです。PCで使用されるトラッキングのためのツール「Cookie」は、Webブラウザを認識するためのものである一方、広告識別子や広告IDは端末単位での識別ができます。
Sensor ID
Sensor IDは、スマートフォンにおけるトラッキングのための最新の仕組みです。まだ新しい技術であるため、活用方法は今後さらに発展していく可能性がありますが、スマートフォンに搭載されている各種センサーを活用して行うトラッキングのことを指します。ビッグデータやIoTとの連携についても期待されています。
トラッキングを行うメリット
トラッキングを活用することで、ECサイト事業者はユーザーの動きを把握できます。トラッキングから得られた情報をマーケティングオートメーションツールに読み込ませ、コンバージョンレートを上げるために活用できるなどのメリットがあります。
まとめ
トラッキングを行うことで、ECサイト事業者は目の前にいないユーザーの行動や経路を追跡し、解析することができるようになります。そうして得られたユーザーの振る舞いを、サイトや広告戦略の改善に活用することで、ユーザーからさらに支持されるECサイトに近づけることができるでしょう。
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