はじめに
ギフト業界において、EC市場への参入はもはや必須条件となっています。しかし、競争の激化やSEO対策の複雑化など、多くの企業が課題を抱えています。
そんな中、東京ユーキ様は、地域密着型のEC事業を展開し、全国区へと成長を遂げられました。
今回は、東京ユーキ様の荒俣社長に、
- EC事業を成功に導いた秘訣
- 販促費を削減し売上UPを実現した方法
- ECのプロを活用した効果
などについて、詳しくお話を伺いました。
ギフトEC事業の成長戦略や販促費効率化にご興味のある方は、ぜひご覧ください。
プロの紹介
消防士からECコンサルタントに転身したという異色の経歴を持つ。クライアントの売上の壁を突破するために「諦めない」という強い気持ちで業務に当たり、多くのクライアントからの支持を獲得。知識に裏付けされた論点思考と行動量と徹底的な分析でクライアントを成功に導く。最大の強みは「クライアント様が何をやっても超えられない壁があったときに、その壁を一緒に乗り越える力」という熱量。
東京ユーキ様 会社概要
東京ユーキは、オンラインで様々なギフトを販売するギフト専門店です。幅広い品揃えを強みとし、食品から日用品、花や観葉植物まで、あらゆるギフトシーンに対応する商品を取り扱っています。ウェブサイト上で注文から決済まで完結できる手軽さ、熨斗やラッピングなどの無料サービス、そして500円のプチギフトから1万円を超える高額ギフトまで、幅広い価格帯の商品を提供中で、相模原を活動拠点として事業を展開中です。
相模原からスタートし全国へとEC事業を展開

ー御社の事業についてお伺いさせていただきます。まずは貴社事業と貴社の成り立ちをお伺いできますでしょうか?
荒俣:
事業のスタートは私の父が経営していたお茶を販売する会社がスタートでした。
これは今も店舗で営業しています。
ーどちらで展開されているのですか?
荒俣:
相模原です。元々は祖父が経営していて、全国展開をしていました。
しかし諸事情により、私の代で規模を縮小することになりました。お茶屋だけでは生計を立てることが難しく、26歳で現在の会社を設立しました。
ー最初からギフトやEC事業を始められたのですか?
荒俣:
最初は葬儀関係のお茶のギフト事業からスタートしました。2000年頃に会社を立ち上げた当時は、まだECビジネスが一般的ではなかったので、もっぱら葬儀屋さんへの営業活動に専念していました。
香典返しにお茶を使っていただけるよう、地域密着型の営業活動を行っていた時代です。
ーなるほど!ECに参入した時期はいつですか?
荒俣:
ECは2006年頃から始めました。2000年に会社を立ち上げて、5年ほど経って売上が上がり始めてからのことです。
私たちの業界はピラミッド社会で、仕事は上流から来ます。
20代だった当時は、この業界の風潮に耐えられましたが、40代になってからできるかと考えると厳しく感じました。また、従業員にも辛い思いをさせたくありませんでしたので、当時(2000年代初頭)は「ECで香典返しが売れるはずがない」という固定観念がありましたが、それでも「やってみよう」という気持ちでスタートを切りました。
ー始めたのはどのモールから?
荒俣:
自社ECからです。
当時はお茶のサイトと、香典返しのサイトの2つがあったので両方はじめるのは大変でしたが、どっちも捨てきれませんでしたので2サイト同時にはじめました。
ーそこから、どんどんショップを増やしていったのですか?
荒俣:
はい。お茶の事業は頑張って月商100万円ほどでしたが、香典返しの方が成長性が高いと気付いたことがきっかけです。
お茶は程々でいいと判断し、香典返しが売れているということは他のギフトでも可能性があると考えました。
そこから、香典返しを起点に快気祝い、新築祝い、結婚祝い、引っ越し祝い、開店祝い、お中元といった具合に、自社サイトをSEOを活用してギフトのテーマごとに横展開していきました。
モールへの展開は2024年で15周年

ーモールの展開はいつからですか?
荒俣:
楽天が2009年の11月からで、もうかれこれ15年くらいになります。
ーすごい15周年記念ですね!
荒俣:
当時は自社サイトが非常に好調だったんです。
私としては正直なところ、あまり重要視していなかったんですけど(笑)。
単に販売チャネルを1つ増やすだけだと思っていたので。だから「とりあえずやってみよう」という軽い気持ちで始めたのが最初のきっかけです。
ー今は楽天からの売上が大きいですか?
荒俣:
はい。楽天の売上が全然大きいですね。
ーすごいですね!そこからYahoo!にも展開みたいな感じですか?
荒俣:
Yahoo!は数年後に始まりました。
その後、2018年から2019年頃、コロナ直前に転機が訪れました。
自社サイトの売上が落ち始めたんです。競争が激しくなり、SEOの順位付けもAIベースに変わってきました。その結果、昔からの個人ショップが次々と淘汰されていったんです。
高島屋やシャディのような、従来から実店舗で強かった企業がEC市場でも上位を占めるようになり、以前からECをやっていた店舗は苦戦を強いられました。私たちの自社サイトの売上も急激に下がっていきまして。この状況を打開するため、本格的にモール展開へと方針を転換しました。
ーなんとなくはじめた楽天が結果として良かったのですね。ECとか始めたときは、社内の人数とかどういう状態で始まったのですか?
荒俣:
当時はECの専任担当者は誰もいなかったため、私が全ての業務を担当していました。最初のホームページは制作会社に依頼しましたが、その後の更新作業は全て自分で行いました。
本当に見よう見まねで進めていた時代でしたね。日中は受発注業務をこなし、EC以外の仕事もあったため、夜10時から深夜2時か3時まで作業を続けていました。
ーそれは相当大変でしたね!全てのEC業務を荒俣さん一人が担当していたら苦労も多かったと思いますが、その当時は会社全体の人数は何人で行っていたのでしょうか?
荒俣:
ECを始めた頃は社員が10人もいなかったと思います。お話した通り、当初のEC部門は私一人でした。
月商が最初の2サイトで200万円ほど達成できるようになってきて、一人での限界を感じ始めてから人員を増やしました。
まずは事務担当者に受注業務を任せ、その後にウェブデザイナーを採用しました。そのデザイナーがデザインを含め、様々な展開を手がけてくれました。
そこからは事業の成長が加速し、年商が数千万円単位で伸びていきました。良い布石を打てたと思います。
早い成長でしたね。サイトを立ち上げるごとに数千万円単位で売上が伸びていったのは、本当に素晴らしい成果でした。
ーすごいですね!もし今の時代で同じ状況だったら、こうなると思いますか?
荒俣:
いいえ、今は難しいと思います。時代が違いますから。私たちが始めた2000年代はECの成長期でしたが、今は完全に成熟期に入っていて競合が多すぎます。社内だけで完結を考えているのであれば、今からの参入は全くおすすめできません。アウトソースする部分はしていかないと生き残れない時代かなと。
独学で徹底的に勉強して上位表示を獲得
ーちょうどいい時期でもあったのですね。2サイトを立ち上げてすぐに200万円に持っていくのはすごいと思います。当時、最初にEC事業を始めた時に課題はたくさんあったと思うのですが、特に大変だった事はどういうことがありましたか?
荒俣:
SEOについては徹底的に勉強しました。私が最初にうまくいったのは、ショップのテーマ選びで競合が少ない市場に参入できたことです。
当時は一般的な茶葉売り場とは異なり、ティーバッグの専門店を展開していました。
日本茶、中国茶、紅茶など、何十種類ものティーバッグを取り揃えて楽しめるようなショップは当時なかったんです。そのため、比較的容易に上位表示を獲得できました。
ーすごい!どうやって勉強されたのですか?
荒俣:
本を徹底的に読み込んで勉強し、試行錯誤を重ねながらメモを取り続けました。当時のメモの量は膨大で、アイデアもたくさん出しました。
今はChatGPTがあって、質問するとすぐに答えが返ってくるので便利ですよね。
ー1分くらいで全部出てきますよね(笑)。でも、自分で経験して得た知識とChatGPTで簡単に得られる情報では、やはり熱量や想いが違いますよね。
荒俣:
そうですね。良いアイデアを思いついたときの感動は、自分で苦労して見つけたからこそ大きいんです。
ー課題についてもお伺いしたいです。今、外部というかプロにお願いしようとなっていただいたところだと思うんですけど、何かそこを決断に至ったのはどういうきっかけだったのでしょう?
『ECのプロ』利用で販管費を大幅に削減

荒俣:
外部に業務を委託するという課題は何年か前から感じていました。仮に社員が会社を離れる際、同じスキルを持つ人材をすぐに見つけることができず、業務の継続が困難になることが予想されます。会社の体制を変革しなければならない時期に、核となる人材が不在というのは非常に厳しい状況です。
会社の体制を変革しなければならない時期に、核となる人材が不在というのは非常に厳しい状況でした。小規模な組織なら何とか対応できますが、ある程度の規模になると、中心メンバーの欠如は深刻な問題となります。
この状況に対応しながら、急速な時代の変化への適応や人材採用の難しさも重なり、数年間苦戦が続きました。そんな時に良いご縁があり、それまではコストの面から選択肢から外していた外部委託について「これは有効な選択肢になるかもしれない」と考えるようになりましたね。
ーそれ以前は、何かコンサルを使ったことはありましたか?
荒俣:
楽天に関しても以前コンサルを利用したことはあります。
ただ、楽天の売上はある程度まで成長した後、完全に停滞してしまい、その状態が何年も続いて壁を感じていました。
何度もその壁を突破しようと努力しましたが、自社だけでは限界がありました。コンサルも導入しましたが、うまくフィットせず、なかなか成果を出すことができませんでした。
ー知見的に外部の力を借りないとちょっと知見的にも難しいとなったのですか?
荒俣:
そうですね。目標を達成するための壁を突破するのはちょっと難しいかなと。
適任なコンサルがいたのはECのプロだけ
ーコンサルに関して他の企業さんも検討していたのですか?
荒俣:
いいえ、当時はコンサルタントの利用をほとんど考えていませんでした。実は、コンサルタントは全く効果がないと思い込んでいたんです(笑)
コストが高額なうえ、コンサルタントを導入しても目標数字を達成できないという壁に何度もぶつかっていました。そのため、一度内製化して立て直そうと考えていた時期でした。そんなときに、御社からご連絡営業の電話をいただいたんです。
普段は営業の電話には出ないのですが、そのときは偶然対応することになりました。お話を伺ってみると、ECに特化したサービスを提供し、豊富な人材を抱えている御社なら、当社のニーズに合った人材を紹介していただけるかもしれないと思ったんです。自社だけでは対応が難しく、人材募集をしても適任者が見つからない状況でしたから。
ー弊社から連絡があった後も、別に他は比べたり見たりはしていなかったということですか?
荒俣:
全く検討していませんでした。
実は、ECの方を再度強化しようと考えていて、ECコンサルの話をしていたのですが、楽天の方が取り組みやすいとのことでした。ただ、これまで何度も壁にぶつかってきた経験があったので、最初は躊躇していました。でも「大丈夫です」と自信を持って強く言っていただいたので、「それならば」と思い、取り組むことにしました。
ー実際のプロが入って何か変わったり、これはすごい助かったなっていったりしたことはありました?
荒俣:
以前は一人で運営していた時、毎月前年対比で売上を上回ろうと努力していましたが、実際に目標を達成できているのか、下回っているのか、正確な判断ができませんでした。
見通しが不透明な状態でスタートせざるを得ませんでしたが、今は下振れのリスクが少ないという安心感が何より大きいです。上振れについては本当にありがたく思っています。
現在は、平常時の月商1千万円という次の目標に向けて取り組んでいます。
この目標を達成すれば人員も増強でき、繁忙期にはさらに高い売上目標も目指せると考えています。
ECのプロ導入で販管費の削減を実現
ー販促費などはプロが入ってから変わりました?
荒俣:
御社にサポートしてもらってからは販促費が下がっています。
恥ずかしながら、それまでは楽天での売上の作り方がよく分かっていませんでした。昨年は販促費を多く使い、一昨年は抑えめにしましたが、どちらも成果は安定しませんでした。「販促費を使わなくても売上は作れる」のか、「やはり使った方が効果的」なのか、適切な配分が全く分からない状態です。
楽天に関しては、御社に実際に見ていただいてから、販促費の使い方だけでなく、適切な運用方法全般が理解できるようになりました。
御社から説明いただいたように、販促費にはRPPやクーポン、ポイントなど様々な種類があり、それぞれを試してきました。ただ、これらの施策をやめることで売上が下がってしまうのではないかという不安は常にあったかもしれません。
ーそうですよね。
荒俣:
確かに最初は不安でしたが、実際にやってみないと分からないものですよね。継続的に取り組んだ結果、新しいことへのチャレンジができるようになりました。特に、販促費を徐々に削減しても売上が維持できたのは大きな発見でした。そのおかげで、クーポン金額の見直しなど、様々な施策を試せるようになっています。
また、ある施策を中止しても売上が下がらないということも重要な学びでした。「これをやれば売上が上がる」という発想から、「実はこの施策は必要ないかもしれない」という新たな気づきが得られたのは大きな収穫です。
販管費の削減や事業の相談相手が欲しい 人にECのプロはおすすめ
ーECのプロっていうサービスを実際に他の企業さんにおすすめできるポイントは何かありますか?
荒俣:
私と同じように、どの販促費が効果的で、どれが効果がないのか分からない企業さんには、ぜひ試していただくことをお勧めします。
必要な答えが明確に見えてくるようになりますよ。それに、専門家に相談できる相手がいるというのが本当に心強いんです。
一人で悩まなくて済むというのは、想像以上に大きな安心感につながります。不安が解消できるんですよ。
ーずっとここまでは1人でやってこられましたもんね。
荒俣:
そうですね。なので大変助かっています。僕たちのような事業は中々ECをやっている人との交流も少ないですので。
ー今後として、何かECをどうしていきたいとか、会社をどうしていきたいっていうのがあれば教えていただけますか?
荒俣:
ECは一つの事業ですが、御社にお願いできるようになってから余計な不安が減りました。その分の余裕で様々なことに取り組めるようになっています。
これまで当社は冠婚葬祭関連の商品に注力してきましたが、今後はよりパーソナルなイベント向けの商品も展開していきたいと考えています。
クリスマスやバレンタインなど、従来のお祝いやお悔やみ以外のギフト需要にも対応していきたいですね。今までは手が回りませんでしたが、そういった商品にも挑戦してみたいと思っています。
また、新しいことにチャレンジして、商品やサービスの付加価値を高めていきたいです。今までは余裕がありませんでしたが、ECとリアル店舗の両方で新しい展開ができそうです。
特に敬老事業は手応えを感じていて、さらに良い展開ができると考えています。まだまだやりたいことがたくさんありますよ。
【地域密着型】相模原から地域に根付いた活動を最優先に展開

ー話題は変わりますが、個人的にとても気になっていたことがあります。元々大阪にいらっしゃったとのことで、相模原にはいつ頃移られたのでしょうか?
荒俣:
それはかなり前のことで、小学校2年生の時です。
ーその相模原に何か特別な思い入れがあったのでしょうか?
荒俣:
当初からこの地域での事業展開を考えていました。全員が同じ場所で働き、地域の人々とチームを作れる環境に魅力を感じていたんです。
20年以上事業を続けてきて、様々な選択肢を検討しました。確かに他の場所の方が物流拠点として効率的で、土地代も運賃も安いのです。
ですが、私自身、目の届く範囲で事業を展開したいという思いが強かったんです。相模原はベッドタウンで、多くの人が横浜などに通勤していますが、特に子育て中の女性にとっては、職場が近いことが重要です。
働き方が多様化している今でも、地元に働きやすい職場があることは大切だと考えています。
また、経営者の青年会議所などの会議に参加して多くを学び、それが地元への意識を高めるきっかけとなりました。
相模原での事業展開もECの開始も偶然のスタートでしたが、子供の誕生やマンション購入など、私の生活環境の大きな変化と時期が重なったのです。
会社の本格的な拠点を構える時期とも重なり、この地域で事業を展開していこうという思いが自然と確固たるものになっていきました。
ー自分もそこに住んでるし、周りの環境に向けて最適な場所だと感じたのですね。
荒俣:
子供の成長とともにママ友のネットワークが自然に広がっていきます。そうして深まる地元の人々とのつながりを大切にしながら、地域に根差した商売を展開していくことを最優先にしていきたいと考えています。
ーそれが叶えられる場所というのがいいですね !
荒俣:
はい、人それぞれに叶えたい夢や目標が違いますよね。私たちの想像以上に仕事に打ち込みたい人もいれば、ワークライフバランスを重視する人もいて、多様な価値観があります。そういった個人の違いを受け入れ、理解することが大切だと考えています。
ー今日はいろいろお話を聞かせていただきありがとうございました!私も新しい仕事の機会を提供できたらいいなと考えていて、それを御社では実際に実現されているので、非常に参考になりました!