はじめに
みなさんこんにちは!ECタイムズのみなつです!
近年、スマートフォンやインターネットの普及を背景に、日本でもECサイトの利用が浸透してきました。特に、2020年以降の新型コロナウイルスの流行拡大を受けて、EC業界はさらなる成長を遂げています。
一方で、新規参入事業者の増加や越境ECの拡大により、競争の激化が予想されることも事実です。
これからのEC業界で他社に差をつけるには、どのような戦略が必要とされるのでしょうか?
そこで今回は、WUUZYにEC業界のエキスパートとして登録されている久保氏、清水氏を迎え、大手ECプラットフォーム運営の経験者である両氏に、今後のECサイト運営に欠かせない戦略のポイントを伺いました
コロナ前後のEC業界の変化やトレンド、各企業が抱える課題と解決方法をおさえましょう。今後の具体的な戦略を考えるためのヒントが得られるはずです。
ご経歴紹介
清水 将平 氏
日本ECサービス株式会社 代表取締役、JECCICAジャパンEコマースコンサルタント協会 特別講師をしています。株式会社ドリーム・トレイン・インターネット(DTI) 時代では、サポート部門を統括し、主要専門4誌にてサポート満足度No.1の評価を獲得。楽天株式会社 時代は、月商300万以下のファッションジャンルのショップを担当し、月商1000万達成。
入社半年でMVP獲得。その後、売上50万以下の全ジャンルで最大600店舗を担当していました。
⸺清水さん 本日はよろしくお願いいたします!自己紹介をお願いします。
コンサルとして全国でセミナーをしています。運営しているEC勉強のコミュニティでは楽天市場の55000ショップ中の2300社が会員になっていて、今日の内容も、会員さんの具体的な事例の話ができたらと思います。よろしくお願いします。
⸺楽天市場の会員が2300社ってすごすぎます。実際の事例を楽しみにしています!
久保 翔平 氏
現職は、以下の肩書となります。4つもある…。
- 株式会社メルカリ 対法人折衝事業部(Merchant Div) 事業推進室⻑
- Runpeace ECコンサルティング CEO
- 有限会社久喜商事 取締役
- 大阪市立大学 非常勤講師
アマゾンジャパン合同会社時代に、新規開拓営業に5年間従事。年平均 100 社の新規契約、年5〜10億規模の売上目標を保持しながら、5年のうち2度の通期Top Tier(MVP)を獲得。
現職の株式会社メルカリでは、メルカリグループのアセットを用いたソリューションの企画、事業 KPI 設定、ROI 管理、カンパニー間の調整、メルカリ Shops(事業者出品)の営業戦略策定に従事しています。
⸺久保さん 本日はよろしくお願いいたします!自己紹介をお願いします。
アマゾンジャパンで大手メーカー、ブランドが出店して立ち上げるまでのサポートをおこないました。その後、 Amazon に勝つコツなど、コンサルタントとして独立させて頂いて、兼業でメルカリでも働いてます。
別で、家が伝統工芸士もやっていて、茶筅っていうお茶を立てる時の竹の泡立て器があると思うんですけど、私は23代目でまもなく継ぐ所の仕事をしながら、大学で非常勤講師もしてます。
4足の草鞋を歩む最近の働き方の最前線を勝手に行ってると考えています。
今日はよろしくお願いします。
⸺アマゾンを知り尽くしてのご意見を聞かせて頂ければと思います。そして、4足のわらじは、マルチタスクすぎます。
コロナ禍でECモールはどう変わった?
⸺私たちの生活に大きな変化をもたらした新型コロナウイルスの感染拡大。みなさんは、その影響をどのように受け取っているのでしょうか?
まずは二つのモールの変化とモール間の競争について、お二方の所感をお伺いしたいと思います。
Amazonの変化
(久保さん、以下敬称略)マーケットプレイス全体として、売上がかなり伸びました。食品系は前年比約200%の伸び方をしたセラーもいます。
一方で、withコロナで生活スタイルが一変したことで、あまり使われなくなったものに対しては、節約志向が働いている印象です。例えば口紅やファンデーションなど、商品によっては極端に売上が下がっています。
楽天の変化
(清水さん、以下敬称略)出店者数自体にはそれほど変化がない一方で、売上の二極化が進んでいる印象があります。事業者間の熾烈な競争はコロナが落ち着いた後も続いていくのではないでしょうか。
例えば、家中需要の影響で、ギフト系の売上には変化が起きています。
義理チョコの需要は落ち込みましたが、一方でLINEギフトなどの利用者が増えるなど、スマホシフトの加速と重なり、ユーザーの行動が大きく変化しています。
Withコロナで加熱するモール間競争
(久保)コロナ渦でECサイトの利用が浸透した影響で、ユーザーが各ECモールを使い分けるようになり、モール間の競争が加速しています。
それぞれのECモールで、イベント時の伸びとその後の落ち込みが顕著に見られるようになりました。
また、メルカリの出品者数が急増し、Amazon・楽天を半年で上回りました。
もちろん規模の小さい出品者が多いのも理由の一つですが、それぞれのECモールで利益を獲得しづらくなってきたために、出店するモールの数を増やす事業者の動きが見受けられます。
一方で、ユーザーの変化も見逃せません。
10代〜20代では、Instagramを経由して商品の購入に至るケースが多く、ZOZOやSHIENなど利用するECモール自体も変化しています。
今後も競争激化が予想されるECモールでは、こうした業界やユーザーの変化を敏感に感知し、戦略を立てていく姿勢が必要不可欠なものとなるでしょう。
ECモールを生き抜くポイント
⸺それぞれのECモール、モール内での競争が激しいイコール大変。 生き抜くポイントを教えてください!
ECモールの特性を理解する
⸺Amazonと楽天がそれぞれどのようなECモールであるかを確認しましょう。同じ商品を出すにしても、ECモールの性質によってとるべき戦略は異なります。
大きな違いは、Amazonは「出品」、楽天は「出店」する場所であるという点です。
それぞれのモールの特徴について、教えてください!
(久保)Amazonは出品プラットホームなので、基本的にモノを出す場所です。商品単位で販売していくテクニックが重要になります。
大手であろうと資金が多かろうと、必ずしも勝てるわけではないというのが、Amazonで売る難しい点であり、面白いところでもあります。
(清水)テナント型ECモールである楽天は、商品単品の販売だけでなく、お店側で売り方を工夫をすることができるのが特徴です。
例えば、ギフトセットなど、商品を組み合わせて売るなど見せ方によって他社に差をつけることもできます。
モール内ランキングの重要性
⸺モールの特徴に、「ランキング」ってありますよね?これについてはどうでしょうか?
(清水)ECモールで売上を大きく左右するのがランキングです。
楽天でもAmazonでも、ランキング上位のものに売上が集中する傾向があります。
背景には、どの店で買ったら失敗しないかを判断したいという消費者心理があります。
ECモールには様々な事業者が参入しています。ランキングに載ることで店の信用度が高まり、他の商品の購買にもつながるのです。
セールを開催して一度順位を上げるなどの工夫は必須です。
ブランドの価値を下げるのではないかと不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、まずはブランドを認知してもらうことが何より重要なのです。
(久保)Amazonの場合は、特に間に合わせ需要が多く、ユーザーにそれほどこだわりがない場合も多いので、検索順位のランキングも重要です。
何気なく検索したときに、商品がファーストビューに出てくるか出てこないかで、コンバージョンに大きく差が出ます。
オリジナル商品を磨くことが鍵!
⸺ECモール全体の傾向として、コロナ以降のB2Cがより加速しています。
仕入れて販売するという販売形態だけでは、今後ますます厳しい戦いを強いられることになるでしょう。
重要になってくるのが「オリジナル商品の開発」です。
その重要性について、お二人のご意見を聞かせてください!
他社が真似できない差別化要因をつくる⸺清水さん
最近ECモールに出店して、後から売上を伸ばしている事業者様を見ていると、取り扱う商品の数がそれほど多くなくとも、オリジナル商品で大きな売上をあげているというケースが多いようです。
商品開発が今後の勝負の鍵を握るでしょう。
出店数の多い楽天では、ランキング上位に入るほどの売上を上げた商品であればすぐ他社が同じような商品を出品するということがあり得ます。
楽天は売上の8割がスマホ経由になる程スマホシフトが進んでおり、購入者側はあまりショップを意識していません。そのため、最初の売れている段階でしっかりブランディングし、他社が真似できない差別化要因を取り込んでおかなければすぐ他社の商品に紛れて売れなくなってしまうのです。
商品開発・販売において、ポイントになってくるのは以下の二つの視点ですね。
こだわりを捨て切ったマーケットインを⸺久保さん
メーカーさんによく見られる例で、プロダクトアウトで自社の商品を打ち出すという戦略はあまり上手くいかないことが多いです。
万人受けをするものを作れば作るほど売れなくなっていくので、「マーケットインで商品開発ができるか」が今やEC事業者に欠かせない視点です。
Amazonの場合は、商品の売り出し方も重要です。
商品単位での販売になり、販売ページを工夫することができない分、商品情報をどう設定するかが鍵になってきます。
まず、ブランド名を決める段階においても戦略が必要です。
自分の名前やコンセプトからブランド名を考える方が多いのですが、テクニックとしては「検索に引っかかりやすい名前」にすることが重要です。
Amazonはブランドを探すサイトではなく、あくまで商品を探すサイトです。
「ランキングの重要性」でも触れたように、Amazon内の検索順位が非常に重要な指標となるため、購入者に認知されるには、購入者だけでなく、コンピューターにどう認識されるかという視点も必要になってきます。
こうした自分のこだわりを捨てきったマーケットインは、突き詰めると会社名の工夫にまで及びます。
おわりに「厳しいEC業界をどう生き抜くか」
EC事業は儲かるビジネスだと思われる傾向にありますが、実際に利益を上げるのはそれほど簡単ではないんですね。
多くの事業者が、売上はあっても利益を上げることができないという悩みを常に抱えています。
ECといっても、ECモールにおける戦略と自社サイトの戦略は全く異なるものです。
ECモールもそれぞれに特性があり、それに合わせた戦略を立てる必要があります。また、多くの事業者が複数のモールに出品・出店するようになり、戦略はますます細分化し、複雑になっています。
ちなみに実は、久保さんと清水さんにはまだまだ多くのノウハウを語っていただきました……!!
あまりに豊富なノウハウに、ここではスペースの都合上全てを載せ切ることができませんでした……悔しい……。
全編を知りたいという方は、こちらから完全版のホワイトペーパーをダウンロードできますので、是非ご覧になってみてください!
ちなみにこのあとは、
・自社ECの勝ち筋とは?
・自社ECの必要性は?
・自社ECの戦略について
・販路設計の具体例
について、語っていただいています!
▼全編ダウンロードはこちらから
https://ecnopro.mk6-robo.com/pages/questionnaire-20230426/
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