はじめに
みなさんこんにちは!ECタイムズ のみなつです。
皆様、コマースプロデューサー 川添隆さんをご存知でしょうか?NewsPicksでもプロピッカーとして活躍され、複数のEC事業を成功に導き、ECに関連する著書も発行されている、あの川添隆さんです!
実はECのプロでは、サービスリリース初期から川添さんにアドバイザーとしてお世話になっているのです。(川添さん、本当にありがとうございます!)
先日は弊社オフィスにて、そんなコマースプロデューサー 川添隆さんとの共同セミナーを開催させていただきました!
自社ECを運営されている方であれば必見のセミナー!川添さんの長年の経験に基づき、自社ECを伸ばすために実行すべきことについて分かりやすく解説していただき好評のセミナーとなりました。
私自身、お話を聞きながら「な、なるほど……!」と自身の勉強不足を痛感する場面がチラホラと(もっと頑張ります。汗)
しかし、「当日どうしても予定があって……」「めっちゃ聞きたかったけど出席できなかった!」というお声もちらほら……
そうですよね!聞きたかったですよね!!!
そこで、本記事ではセミナーの様子を一部抜粋してレポートしちゃいます!
当日出席できなかった方、出席したけど復習としてもう一度内容を確認したい方、自社ECの売上を伸ばしていくにあたってどのような優先順位で施策を講じていくか悩んでいる方、ぜひ最後までお読みください。
登壇者のご紹介
川添隆さん
1982年生まれ、佐賀県唐津市出身。全国のEコマース担当者を応援し、Eコマースビジネスの可能性を伝えるEコマース業界の先生として活動。また、オンライン・オフラインのコマースに関わる事業設計・仕組みづくり・システムを伴うサービス開発のプロデューサー。企業再生を2社経験し、独自のメソッドと実践を通じてEコマース売上2倍以上に携わったのは6社。著書に「『実店舗+EC』戦略、成功の法則〜ECエバンジェリストが7人のプロに聞く〜」がある。
モデレーター 竹中星矢
連続起業家 / (株) aedi works. 代表取締役 / (元) 東京大学大学院情報学環 職員学生時代に (株) aedi works. を設立。ʼ19年に東京大学大学院 AI研究室にて職員に着任。プロ人材の持つナレッジを効率よく循環させるため、(株) WUUZYを創業しHR業界に進出。
2022年、ECに特化した人材マッチングサービス「ECのプロ」をリリース。
それではいよいよ本編スタートです!こんなにたくさんの参加者の皆様、ありがとうございます!
皆さん、ぜひ最後までお楽しみください〜!!
ECの売上をあげたいなら、ズバリ何から見直すべきなのか?
EC事業の成長に必要な4つの要素とは?
竹中:早速ですが、EC事業を成長させるためには、まず何から見直していくべきなのかについてお話を伺っていきたいと思います。ツールの導入やシステムの改修など、EC事業にはいくつか重要なポイントがあると思うのですが、川添さんが特に重視されている要素は何ですか?
川添:EC事業を成長させるには注意すべき要素がいくつかあります。私はいつも次のようなフレームワークでEC事業全体を見直した上で、強みを特定しつつ補足をしてきました。
既にEC事業を展開している企業としてまず考えるべきは組織力です。EC事業の場合は特に、それほど人手がいらないとか、テクノロジーやプラットフォームを使いこなせば何とかなるとかいったような誤解を受けやすいと捉えています。しかし、販売をするお店・小売であるという特性上、どういう人が運営するかは非常に重要な要素だと信じています。一人一人のプロ意識や行動力、交渉力、熱意を育んでこそ、施策やサイトに反映されますし、EC事業に強い組織を作れると考えています。
次に重要なのが、どういったチャネルで勝負するかです。例えば、人が集まっているモールで販売するのか、独自の集客が必要な自社ECで販売するのかによって戦い方が全く違います。各モールにはそれぞれのアルゴリズムがありますし、逆に自社ECサイト内ではほぼそういったものが無いので、イチから戦略を立てていく必要があります
10年ほど前から存在していましたが、現代は「モール特化型ブランド」がより生まれやすくなっています。専門モールではブランドランキングの5位以内に入るケースも見られたりしますが、こういったブランドではチャネルに最適化した商品開発が行われています。他にもインスタグラマーがフォロワー向けに商品を作るなど、上の図でいう「商品」と「売り方」と「集客」が三位一体になったようなEC事業展開をしている例もありますね。
整理すると、モールECであれ自社ECであれEC事業を成長させていくには、まずは組織力を高め、次に自社ブランドに合ったチャネルを選定し、「商品」「売り方」「集客」の三つの要素それぞれについてアクションし続けていくことを基本に考えてみると良いと思います。それぞれの要素にどんな課題があるか?を走りながらでも整理していくと、躓いた時に次の手を打ちやすくなります。
現代ECの販売プロセスにあったツール選びの極意
竹中:では次に、それぞれの要素におけるツール導入とシステム改修についてお聞きします。最近は多くの企業がEC事業者向けのツールを開発していますが、自社にあったツールやシステムを選ぶには、具体的にどういった観点が重要でしょうか?
川添:ツールやシステムの導入を考える際には、選ぶ前に必要な事があります。まず、顧客が商品の購入にいたるまでにどのような道をたどり、それに対しどのような課題とアプローチが可能かを考えることが重要です。
川添:こちらの図が、ECサイトの販売プロセスを私なりに表したものになります。
プロモーションを行い、サイト内で購入いただき、購入のついでにLINEやメルマガに登録してもらってCRMでリピートしていただくという流れです。
この瞬間に購入いただいたお客様は、次のリピーターになっていただきたいですよね。特に自社ECではリピーターが継続的に増えなければ利益はでないという商売のモデルです。リピーターになっていただけるように逆算で考える必要があります。
このサイクルが生まれてこそ初めて自社ECの事業が成立すると捉えています。
一方で、そこそこ売上がたってくると、プロモーション、CV獲得、CRMは単独のKPIになったり、分業になっていく事が多いです。また、ECの部分的ノウハウが調べれば転がっているので、小さい部分のみの最適化に走る傾向をよく目にします。そして、それぞれの枠の中だけで最適化し続けると、ブランドとしてこの”流れ”を意識できなくなったり、顧客としても期待値とのズレが発生するリスクが増えます。
例えば、販売ページ側の担当は「当社の商品を望んでいるお客様を集客して欲しい」と考えたとします。しかし、広告運用担当は集客目標、各広告のロジック、CPAなどの効率指標だけをみて運用していると、必ずしも販売ページ担当が求めていることとズレが生じてくることがあります。こういった例は、組織が大きくなるほど起こると良く聞きます。
大切なのは、プロモーション、CV獲得、CRMの各プロセスに一連のつながりがあるかということです。例えるなら次のプロセスに「バトンを手渡しする」ようなイメージ。
バトンがうまく渡らないと、何かしら定量的な影響が出たり、顧客体験が下がる可能性があります。
図を見ていただいたらわかる通り、この各要素やつなぐバトンには必ずツール導入やシステム化で解決できることがあります。それだけ、課題解決のツールが増えたということでもありますが。ツールなどを選ぶ際には、各要素やバトンの渡し方のどこを改善したいか?を見直すことが重要ということです。
竹中:なるほどです!ありがとうございます。
ツール導入は後回しで大丈夫?
川添:じゃあ結局、ECの売上をあげるために優先して取り組むべきことは何なのでしょうか?
ツール選定だけの話をするなら、あらゆる要素の課題解決をサポートするツールがごまんと存在しているので、「やっぱりツール導入が必要なんですね」って思ってしまう人もいるでしょう。ツール導入したら今自社で抱えている問題は全て全部解決するのではないか、とさえ錯覚する可能性があります。
しかし、ツールはどこまでいっても部分最適が可能な道具にしかすぎません。もちろんEC事業全体の問題を全部解決できるわけではありません(副次的な効果で他の課題まで解決することはあったりします)。また、道具なので使わないと役に立ちません。これらはよくある陥りがちな罠です。
竹中:ツール入れたら全てうまくいくよね、みたいなプロモーションをツール側もしますもんね。
川添:導入するだけでコンバージョンが上がると言われているツールのなかで、本当に自動的に結果をだしてくれるツールは、僕が知っている中でも多分片手にないぐらいです。
竹中:逆にちょっと聞きたいんですけれども、どの問題を解決するものでも良いのですが、ツールの中でこれいいよっていうようなものってありますか?
川添:運用型のツールというわけではないですが、やはり決済手段はベタに良いです。私の経験上、カート画面移行のフローを簡潔にしたり、カート画面移行でアップセル・クロスセルできるようなものは結果が出やすいという実感があります。私の見立てですが、色々選んだ後に「これが欲しい!」と思ってカートに入れた後は、さっさと終わらせたいですよね。仮に商品自体がワクワクするモノであっても、入力や支払いはワクワクする行為ではないでしょう。ですので、そこから先を早くしてくれるツールは良いです。
また、アップセルやクロスセルも、生々しく「支払う金額」が出たほう後の方が、スイッチが起こりやすいのではと捉えています。
竹中:なるほど。
ツールは優先順位として最上位ではないものの、部分的な問題解決には効くかつユーザー体験的に本当に良いツールもあるので、最適なタイミングでの導入を考えるべき、ということですね!
最も優先すべきは、ズバリこれ!
竹中:そんな中で、川添さんが考える自社ECの売上を向上させるための優先順位部分をお伺いしていきたいんですけれど。
川添:あくまでも実店舗メインの企業での私の経験と考えがベースとなっているので、実店舗メインの企業の場合の優先順位です。
店舗のように既存の事業がある場合、すでにそちらにメインの商いがあることで一定の認知や購入・利用されたお客様、CRMが可能なリスト、フォロワーがいるSNSなどが存在するので、間違いなくこれを使ってECを運営する方が合理的です。そのため組織改善を先にあげています。
既にあるアセットを利用するには、他部門の理解や商品が必須になるので、コミュニケーションが必要です。また、どのような運用体制にするかも問題になります。組織改善というと大掛かりに聞こえますが、定期的に会議体を用意して「今は〇〇というやり方ですが、××というやり方に変えたい。なぜなら△△だからです。」「運用は私がやりますので、必要な素材や最終チェックは誰にお願いすれば良いでしょうか?」というような、課題の共有とアクションの決定、振り返りをしていく事が第一歩になります。
おわりに
みなさん、いかがでしたか?
実際のセミナーでは、この後に事業フェーズ・業種ごとの優先順位の違いについて解説していただき、さらにご来場いただいた皆様からのご質問にもお答えいただきました!
自社ECの売上の伸ばし方について、「どうしてそのように考えるのか?」という部分から分かりやすく解説していただき、非常に参考になったのではないでしょうか。
ちなみにセミナー本編後は、こんな感じで「ZOE BAR」を開催し参加者の皆様同士の交流を深めていただきました!
え?セミナーの本編を全て知りたい??
うふふ。そんな声が上がることを予測して、実はご用意しています!
本編を全て知りたい方は、是非下記のフォームからお申し込みくださいませ!
ECの売上をあげるべく日々試行錯誤されている皆様のお悩み解決の一助となるべく、ECのプロでは継続的にこのような有識者の皆様との合同セミナーを企画しています。
次回セミナーもお楽しみに!