ユニファイドコマースとは?OMOやオムニチャネルとの違い、成功のコツを解説

2024-08-02

ユニファイドコマースとは?OMOやオムニチャネルとの違い、成功のコツを解説

顧客一人ひとりに良質な体験を提供する「ユニファイドコマース」とは

顧客が求めるサービスや商品を提供したいという考えは、オンライン・オフラインを問わず顧客への商品・サービスを提供する企業の多くが目指すところです。しかし、顧客が実際に来店する実店舗と、顧客が来店せずにオンラインで注文するECサイトとでは、顧客に提供できる体験に差が出てしまうという点が多くの企業に共通する課題です。この記事では、オンライン・オフラインというあらゆるチャネルの垣根を越え、一貫性のある良質な顧客体験を提供するという「ユニファイドコマース」の手法について解説します。

ユニファイドコマースとは?

ユニファイドコマース(Unified Commerce)とは、「チャネル間の隔たりなく一貫性のある顧客体験を提供する」というマーケティング手法です。このような手法が注目される理由として、現代ではサービスを提供・販売するチャネルやプラットフォームが多様化しているという現状があります。

顧客が商品を購入し、継続したり再購入したりするまでの道のりを「カスタマージャーニー」といいますが、カスタマージャーニーの複雑化は、商品やサービスと顧客が出会うチャネルの違いと、それによる顧客体験の違いを生んでしまう可能性があります。

これに対して、オンラインとオフライン、つまりECサイトと実店舗など、販売チャネルが異なる際に、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)に隔たりを持たせないというのがユニファイドコマースの目的です。

ユニファイドコマースを実現するためには、オンライン・オフラインを問わず個々の顧客のあらゆる情報を収集・活用するデータベースの活用と、顧客一人ひとりに対し1on1で向き合う接客が必要となります。

このような手法は「One to Oneマーケティング」としてEC市場で取り入れられてきたリターゲティング広告やレコメンデーションを用いる手法をさらに発展させたものといえるでしょう。

ユニファイドコマースとOMO、オムニチャネルの違い

ユニファイドコマースと似た概念として「OMO」や「オムニチャネル」と呼ばれる用語があります。ユニファイドコマースとこれらの用語との違いについて、以下に解説します。

ユニファイドコマースとOMOの違い

「OMO」は「Online Merges with Offline」の略で、オンラインとオフラインを統合する、という意味のマーケティング用語です。OMOを実践することにより、顧客はオンライン・オフラインというチャネルの違いを意識することなく、必要な商品やサービスを購入できます。企業がOMOを実践する理由は、シンプルに顧客の利便性や満足度を高めることにより、売上を向上させることです。この点に、ユニファイドコマースとの明確な違いがあります。ユニファイドコマースは、チャネルの違いを意識させない顧客体験を提供することが目的です。結果的に売上の向上・ビジネスの成長というメリットがあるにせよ、ユニファイドコマースの目的はあくまで上質な顧客体験の提供にあります。

ユニファイドコマースとオムニチャネルとの違い

商品やサービスの提供・販売において、現代の企業は顧客の利用するプラットフォーム・チャネルに対応してきました。たとえば、かつては実店舗とカタログ、TVCMなどのチャネルを活用してきた企業が、ECサイトやSNS、アプリやメルマガといったオンラインのチャネルを活用しているというのが良い事例です。このようなチャネルの活用をマルチチャネルと呼びます。

マルチチャネルは単に、様々なチャネルを活用して顧客に訴求することを意図していますが、オムニチャネルはさらに各チャネルを連動させ、顧客が時間や場所にとらわれることなく購買行動を行えるようになります。さらに各チャネルで得られたデータを連動させて、マーケティング戦略に活用しています。

このオムニチャネルの考え方をさらに発展させたものといえるのがユニファイドコマースであり、オムニチャネルは各チャネルで得られた「顧客データ」を統合・連携させて上質な顧客体験を提供することを意図していますが、ユニファイドコマースは「一人ひとりの顧客に最適化された(パーソナライズされた)サービスの提供」を目的としているという違いがあります。オムニチャネルについてはこちら

ユニファイドコマースとO2O(Online to Offline)との違い

O2Oは「Online to Offline」の略であり、オンラインで広く情報を発信し、集めた見込み客をオフライン、つまり実店舗などに誘導して購入を促すという施策です。O2Oはアプリのプッシュ通知やメルマガのクーポン配信などによって実店舗・オフラインへ「送客」することが目的であり、ユニファイドコマースとは根本的な考え方の隔たりがあります。O2Oがチャネル間の送客を実現しようとするのに対して、ユニファイドコマースはそもそもチャネル間の隔たりをなくし、上質な顧客体験を提供しようという趣旨です。

ユニファイドコマースで実現可能なこと

ユニファイドコマースの目的は「チャネル間の隔たりなく一貫性のある顧客体験を提供する」ことです。ユニファイドコマースが実現された場合、個々の顧客に対して最適化された接客・提案が実現できるようになります。

顧客の購買行動や顧客属性・ニーズを分析して接客や提案に取り入れるという手法は、これまでもパーソナライゼーションという考え方によって実践されてきましたが、ユニファイドコマースはさらに一歩踏み込み、「一人ひとりの顧客に最適化した接客や提案」が可能になるという点です。

これは、顧客データ全体を収集して、セグメントごとに分類ごとに最適化するという方法ではなく、個々の顧客データをもとに分析してマーケティングを行うというユニファイドコマースの特徴によって可能となるものです。顧客一人ひとりに最適化された接客や提案が提供されることにより、結果的に顧客が良質な顧客体験を得ることとなります。購入率やリピート率の向上につながる可能性も大きくなるでしょう。

ユニファイドコマースを成功させるには

自社の顧客属性を収集し、分類ごとに最適化するという従来のマーケティング手法では、個々の顧客に最適化された接客や提案を行うユニファイドコマースは実現が難しいといえます。ユニファイドコマースを成功させるためには、大きく分けて2つの要素が必要となります。

オンラインとオフラインのデータを統合したデータベース

ユニファイドコマースは、顧客一人ひとりにチャネルの垣根を越えた体験を提供することが目的です。そのためには、顧客がオンラインで購入した際のデータと、来店時のデータとが統合される必要があります。

つまり、実店舗でのPOSデータ、会員データといったオフラインの情報、ECサイトなどでの商品の検索・閲覧履歴、購入履歴といったオンラインの情報の統合に加えて、在庫管理や顧客管理システムなどのデータを統合し、顧客個人に関するあらゆるデータが蓄積されるデータベースを「土台」として整備する必要があります。自社の店舗やECサイトを利用するたびに顧客の情報が蓄積されていくことで、顧客の趣向や需要に合った顧客体験を提供する精度を高めていくことができます。

パーソナライズ化した接客

パーソナライズ化した接客の提供は、ユニファイドコマース最大の特徴ともいえます。顧客一人ひとりを「属性を持った顧客」ではなく個人として向き合い、コミュニケーションを取ることで、個人の行動・関心や趣向を把握したうえでの接客・提案を提供することができます。

顧客一人ひとりの求めているサービスを提供するという体制の構築には、先の項目で解説したデータベースに蓄積した情報が、実店舗で接客を行う際のスタッフから、顧客からの問い合わせに対応するサポート担当者まで、顧客に接するあらゆる従業員がアクセスできる体制づくりが必要です。

まとめ

この記事では、チャネルの垣根を越えた良質な顧客体験を提供する「ユニファイドコマース」という手法についての概要や、ユニファイドコマースを実現するために必要なことについて解説しました。顧客が商品やサービスに出会い、再び購入をするといったカスタマージャーニーは、現代では複雑化しており、良質な顧客体験の提供が難しいと感じるケースも多いでしょう。

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