国内で非常に高い知名度とEC市場シェア率を誇る楽天市場は、EC事業者にとって確実に押さえておきたいショッピングモールです。その安心感から、幅広い層の一般消費者に利用されており、モール自体の集客力がきわめて高いことなどは、大きな魅力でしょう。楽天ポイントによって独自の経済圏を確立しており、それをベースとする販促効果が得やすいこと、囲い込み効果を発揮させやすいことも強みとして挙げられます。
一方で巨大モールゆえ、出店店舗数が非常に多く、競合他社も多いことは考えておかねばならない問題点です。そうした中でも自社ショップを埋もれさせず、売上を伸ばし、ビジネス成長につなげていくには、広告を賢く利用することが重要となります。そこで、今回は楽天広告について、その特徴や費用対効果、利用方法などをご紹介します。
楽天広告の活用で期待できる効果
楽天広告では、どのような効果が期待できるのか、その利活用の重要性と役割をまず理解しましょう。主な効果には、次のようなものが考えられます。
商品やショップの認知度向上によるアクセス増
ECビジネスの売上に直結しやすい要素として、まずアクセス人数が挙げられます。どんなに魅力的な商品をリーズナブルに販売しても、そのことが一般に知られず、ページを見てもらえなければ、売上実績も伸びません。まずは認知してもらうこと、商品ページへの流入を増やすことが目標となります。
楽天広告は、楽天市場を訪れたユーザーに対し、トップページやイベント特設ページなど、注目されやすい場所で商品やブランドの魅力をアピールできるコンテンツとなるため、素早い認知度の向上を見込むことができます。
多くのユーザーにアプローチでき、広告コンテンツのクリックでも流入を促せますから、売上目標の達成に必要なアクセス人数の増加を実現しやすくなるでしょう。
購買意欲の促進、競争力強化
楽天広告には、設定予算額に応じ、購入見込み客に対して自動でクーポンを発行・表示してくれる仕組みのものもあります。こうした広告は、適切なターゲットに直接アプローチしてお得感を生み出してくれるため、購買意欲をうまく高められると期待できます。
同様の商品を扱う競合他社に対し、こうしたクーポンなどのお得感で差をつけることができれば、どこで購入するか一覧ページを閲覧している際に、他ではなく自社のものを選んでもらえる可能性が高まりますから、競争力の向上にもつながるでしょう。
リピーターやファンの醸成
既存顧客にリピート購入や購入商品のアフターケア情報、新商品情報などを発信する広告商品もあります。このタイプを活用すれば、しばらく購入のない休眠顧客を掘り起こし、リピーターとなってもらうことを目指したり、初めて購入接点をもつことができた顧客をファン化し優良顧客へと醸成していけるよう導いたりすることが可能です。
新規顧客の開拓も重要ですが、定期的に購入してくれるお得意様をしっかり確保し、安定した売上と良い評判を得ていくことができれば、ビジネスも軌道に乗りやすいでしょう。
楽天広告の種類
楽天広告には複数の商品があり、それぞれにアプローチの仕方や料金、期待できる効果に違いがあります。適切なタイミングで適切なものを選定し、活用していけるよう、各特徴をよく理解しておくことが重要です。次から楽天広告の種類をタイプ別に見ていきましょう。
楽天掲載型広告
楽天のトップページや特集ページなど、楽天でのショッピングに訪れたユーザーの多くがまず目にするであろう場所に広告を掲出できるメニューです。このタイプには、主に次の2つがあります。
■楽天市場広告
引用元:楽天市場
楽天市場トップページや各ジャンルトップページ、特集ページなどに、自社の主に画像を用いた広告バナーを掲載できる広告商品です。事前に用意された広告枠を購入して利用するものであるため、楽天内純広告と呼ばれることもあり、入稿すれば必ず掲載される点が最大の特徴です。
料金は掲載枠や掲載期間によって大きく異なり、4万円~120万円ほどとかなりの幅があります。スーパーセール時のとくに目立つ優良枠などは、相当に高額となるため、費用対効果を考えて利用する必要があります。
ターゲットを絞らない広告であるため、広く認知度を上げることには有益ですが、上位枠でなければクリックされにくかったり、クリックによる流入ユーザーもさほど購入意欲が高い消費者ではないことが多かったりするため、コンバージョン率は低めになるというマイナス面をもっています。割引やクーポンなどの施策と組み合わせて利用することで、費用対効果を改善しやすくなります。
■特別大型企画
引用元:楽天市場
特別大型企画は、比較的まとまった広告予算を確保でき、売上実績も十分な事業者向けの広告商品です。大きく分けて2つの種類があり、一つは大口予算枠、もう一つが超目玉枠です。
大口予算枠は、スーパーセールやお買い物マラソンといった多くのユーザーが訪問するキャンペーン期間に、楽天市場のトップページやイベント会場の特設ページなど、目立つ位置に自社のバナー広告を設置できるものです。
アクセス数は稼ぎやすくなるものの、200万円以上の広告枠を購入できる店舗でなければ参加できず、参加申請しても必ず出稿できるわけではありません。とくに広告予算を高く設定している事業者や、実績の高い事業者から優先的に楽天側で調整し、選ばれたショップだけが実際に広告を出すことができます。
運用型広告
■RPP広告
引用元:楽天市場
RPP広告とは、Rakuten Promotion Platform(楽天プロモーションプラットフォーム)の頭文字から名づけられたもので、ユーザーの検索行動に応じ、その結果ページに表示される検索連動型広告のことです。楽天内で機能するリスティング広告と考えればよいでしょう。
ユーザーが楽天市場の検索欄に入れたキーワードとマッチする商品を、商品名、キャッチコピー、商品説明文から独自のアルゴリズムで分析し、選定されたものを自動表示させる仕組みになっています。広告枠はPCで上位3枠、スマホアプリで上位5枠までと決まっており、自然検索よりも上位に表示されるため、高水準な露出拡大とクリックによるページ誘導効果が見込めます。
■クーポンアドバンス広告
引用元:楽天市場
クーポンアドバンス広告は、ユーザーが広告をクリックした際、自動的にお得なクーポンが取得される仕組みの商品です。楽天市場のトップページやジャンルトップページ、検索結果ページなど、さまざまなページが対象で、検索履歴などのデータからマッチング度が高いと判定されたユーザーに、自動で配信されます。
関連商品群に関心を持っているであろうユーザーに直接アプローチし、クーポンでの値引きをフックとして購買意欲を喚起できるため、費用対効果を高く保ちやすい特徴があります。
■楽天CPA広告
引用元:楽天市場
楽天CPA広告とは、ユーザーが広告をクリックし、広告経由で720時間(30日間)以内に商品が売れた場合、その売上に対して20%の広告費用が発生する成果報酬型の商品です。入稿作業などはとくに必要なく、RMS上で同意しさえすれば24時間以内に配信開始となります。任意のタイミングでスタート、ストップを簡単に決められる点で使いやすい広告商品といえます。また、実際に購入にいたった場合のみに課金されるタイプであるため、広告展開を行っても、売れるかどうか不安といった事業者にはメリットの大きいものでしょう。
一方で、楽天市場内や楽天グループ内のイベントページなど、あらゆるページが対象となり、掲載先を絞り込めないほか、売上という確実な成果に課金が固定される分、20%と高い率の広告費になっている点がデメリットです。活用する際には、広告表示したい商品、利幅の大きい商品以外を除外商品として登録しておくなどし、費用対効果をうまく合わせるようにしましょう。
■楽天TDA広告
引用元:楽天市場
楽天TDA広告とは、楽天によるターゲティングディスプレイ広告で、年齢や性別、閲覧履歴、購入履歴など、さまざまなユーザー属性項目を利用してセグメントをかけ、狙ったユーザーに広告バナーを表示させる仕組みのものです。
配信する広告バナーも自由に作成できるため、ビジュアル表現を工夫し、リンク先の商品ページやショップページに適した仕上がりを目指すと良いでしょう。何より届けたいターゲットの条件を事業者側で明確に指定し、それを満たすユーザーに絞り込んで配信できることから、認知拡大やリピート購入の促進(リターゲティング)など、目的に沿った広告展開を効果的に行える点に魅力があります。
配信型広告
配信型広告は、ニュース広告とも呼ばれ、楽天経由でユーザーに対して送られるメルマガを活用した広告商品です。購読ユーザーに豊富な情報量でアピールできる点が特徴的で、次の2つがあります。
■楽天配信
楽天配信とは、ユーザーの閲覧履歴や購買履歴など、楽天が保有するこれまでの行動データから分析し、購入可能性が高いと判断されたユーザーへ、商品を宣伝するメルマガを作成、配信していくものです。
お得情報として配信される楽天のメルマガ購読を希望しているユーザーに、楽天配信を望む複数の店舗から、楽天側が売買の成立しそうなマッチングを図ってメルマガ広告を届け、購入・集客の促進を図る商品となります。
料金は月5,000円の予算から設定でき、クリック課金式となっているため、メルマガからクリックによる流入があって初めて費用が発生します。嬉しい特筆点として、予算を超過した分については、たとえいくらクリックがあっても課金されず、広告費用が生じないため、予算オーバーになってしまうリスクがないという点が挙げられます。
掲載されるためには、CPC(クリック単価)の設定が重要となるため、常に競合するショップや商品がどの程度広告出稿に力を入れているか、分析しつつ調整していく必要があります。この管理をうまく行えば、自社でのメルマガではリーチできない新規顧客や潜在顧客に商材を訴求することができます。
■店舗配信
店舗配信は、これまで購入利用があった顧客ユーザーに対し、あらためてアプローチするタイプのメルマガ広告です。購入後のフォローアップや、類似商品・関連商品のおすすめ、消耗品の再購入を促す目的で使っていきます。
文面は事業者側が任意で作成できるため、広告バナーなど限られた画像情報だけでなく、メルマガ全体を用いたテキストやコンテンツ構成で多彩な情報を自由に届けることができ、魅力を引き出すブランディングを図りやすい特徴があります。
料金は3万円から設定可能で、楽天配信と同じくクリック課金式で予算が消費されます。また、こちらも予算超過分のクリック課金はなされない仕組みとなっているため、予算オーバーの心配はありません。
楽天広告掲載までの流れ
楽天広告は大まかな流れとして、申し込みを行って広告枠を購入し、各種出稿にかかる設定の登録や広告原稿の入稿を済ませることで利用可能になります。初回取引時に行うべきことも含め、詳細な流れと注意点を以下で確認しましょう。
初回取引時
初めて楽天広告の商品を利用する際には、まず楽天側が実施する所定の取引審査を受けなければなりません。この審査を通過した後に、通常の広告出稿に向けたフローで作業を進めていく規定となっていますから、まずは審査を受けましょう。この初回取引審査には、3営業日程度の時間がかかります。
また、利用広告商品を決定し発注するまでには、利用規約に同意の上、「広告掲載サービス利用申込書」を提出する必要もあります。目安として、広告掲載を希望する10営業日前までには提出を済ませておくよう求められており、場合によっては、その後のプロセスでそれ以上の時間を要することもありますから、キャンペーンやセールイベントなど合わせるべきタイミングから逆算し、余裕をもって準備を進めるようにしましょう。
広告枠の購入
楽天広告を利用するには、まず広告枠の購入が必要です。購入は楽天広告ページの「検索して購入」タブから行えます。このタブで表示される、広告ジャンルや商品名、掲載期間、掲載場所などの項目欄に希望条件を入れ、検索ボタンをクリックして実行します。
候補となる広告商品・広告枠が一覧表示されますから、その中から購入したいものを選び、「買い物かごへ」のボタンで購入手続きに進みましょう。複数の広告枠を一度に購入する場合には、順に買い物かごへ入れていき、入れ終わったら「合計金額」のボタンをクリック、かごの中身に間違いがないか確認して購入へと進みます。
「購入お申込み内容の確認」で最終確認を行い、問題がなければ確定ボタンをクリックしましょう。「お申込み完了」画面が表示されれば完了です。
広告原稿の入稿
2回目以降の取引の場合、商品によっては可否審査を受け、在庫見積情報や具体的な提案を楽天側から入手するなどします。その上で広告枠を決定し、購入したら、いよいよ入稿の準備に入ります。原稿はガイドラインや商品の仕様・規定に沿って作成し、入稿しなければなりません。入稿作業は楽天広告の管理ページ「入稿・修正依頼確認」タブから行うことができます。
ステータスが「未入稿」となっている広告から、入稿したい広告を選択し、「選択する」をクリック、規定内容を確認して「原稿を入力」フォーム内の必要事項を入力・登録します。商品画像や商品名など、基本的な情報の入力が求められますから、それらを正確に入力し、すべて完了したら「入力内容を確認」のボタンをクリックしましょう。作業途中の場合には、「一時保存する」をクリックすると、入稿内容のデータを一時保存で残しておくことができます。
「入稿内容のプレビュー」画面で全体を確認し、問題がなければ「入稿を確定する(同時入稿の選択へ)」をクリックします。「入稿完了」の画面が表示されたら、その内容を確認して完了となります。
原稿の審査には、およそ5営業日、正式入稿から掲載までは3~8営業日程度かかります。この日数はあくまで目安であり、利用するメニューなどによって前後しますから、ある程度余裕をもって計画し、進めるようにしましょう。審査で修正が必要と判断された場合には、「入稿・修正依頼確認」タブで、ステータスが「修正依頼あり」となっていることを確認、該当広告を選択し、修正依頼の内容をチェックして、それに従った修正を施します。修正が完了したら、入稿時と同じステップで再入稿を行いましょう。
まとめ
楽天広告について、その特徴や費用対効果、利用方法などを解説してきました。
楽天市場は巨大ショッピングモールであり、日常的に活用しているユーザーも多い魅力的なプラットフォームです。そうした楽天経由で広く集客を図れる楽天広告は、ECビジネス成長に大きな可能性をもたらしてくれるソリューションですが、種類も多く、それぞれの特徴を踏まえた選定と運用・管理が非常に重要となります。
競合事業者も多い環境下ですから、一歩進んだ視点で、自社ビジネスに合った活用方法を検討していくことが成功の鍵を握るでしょう。
ECのプロでは、豊富な実績と専門的知見を活かし、それぞれの事業者に最適な楽天広告の利活用に関する総合サポートを提供しています。一気通貫のサービスで、戦略の立案から商品の選定、広告の実践運用、検証など、より高い効果を引き出す手厚いサポートを受けることができます。
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