EC運営に欠かせないピッキング作業とは?効率化のポイントを紹介

2024-04-03

EC運営に欠かせないピッキング作業とは?効率化のポイントを紹介

ピッキング作業の改善でワンランク上のECビジネスへ

ECの運営にはさまざまな業務が含まれますが、物販を行う事業者の場合、中でも倉庫はビジネスの心臓部であり、ここで行われる作業は非常に重要な意味をもつものといえます。

とくに近年のECでは、商品の注文受付から出荷までのスピード感が重視される傾向にあり、その要として行われる倉庫内作業のピッキングをどれだけ正確に、効率良く、迅速化して実施するかが顧客満足度向上のポイントにもなってきています。

単純そうに見えて奥が深いピッキング作業は、裏を返せばそれだけちょっとした工夫を施すことにより、運営における高い改善効果が見込めるところでもあります。そこでこの記事ではピッキングの基礎から効率化のコツまで、詳しくご紹介します。

ピッキング作業とは?

ピッキング作業とは、倉庫内に保管してある商品の中から、指定されたものを取り出して集める作業のことです。英語の「pick」に由来し、この「pick」には選び取る、摘む、採集するといった意味があります。

伝票や注文書、指示書など、あらかじめ用意されたリストデータを参照しながら、対象となる商品を台車などを使って集め、梱包や検品などを行う次のセクションへと受け渡すまでがこの業務に該当します。

行うことはごくシンプルですが、取り扱う商品が多くなればなるほど、多様かつ膨大な商品の中で、迅速かつ正確に作業を行わねばならず、ベテランであってもミスを起こしやすい注意が必要な工程でもあります。

ピッキング作業は基本的に全て人力で行われますが、とくにサイズの大きな商材や重量のあるものの場合にはフォークリフトなども用いられます。また、昨今は効率化と省力化・省人化を実現するため、その一部または全てを専用のロボットやシステムで行う自動化も、大規模な倉庫や工場を中心に、導入が進んできています。

EC運営にピッキングが重要な理由

ピッキングは通常、顧客の目に触れることのないバックオフィス作業のひとつで、その作業内容もごく単純なものですが、EC運営においては非常に重要なものです。ピッキング作業がどのように行われているかによって、ビジネス全体の効率や顧客満足度、評価・評判に影響が及ぶ場合もしばしばあります。

例えば、ピッキングにミスがあると、顧客のもとには注文商品と異なるものが届けられてしまいます。パッケージデザインや品番がよく似た商品の取り違えや、数量間違いなどはとくに起こりやすいミスですが、いずれも誤出荷の原因となり、顧客に大きな迷惑がかかることはもちろん、返品・再出荷といった手間とコストが生じ、ビジネスにも悪影響が及びます。

また、ピッキング作業に手間取り遅延が発生すると、配送スケジュールにも影響し、顧客が商品を手にするのが遅れてしまいます。素早く、希望のタイミングで商品を受け取りたい顧客にとって、配送の遅延は大きな不満につながりますから、商品が優れていても良い評価は望めず、顧客満足度を大幅に低下させてしまうでしょう。

反対にピッキング作業が無理なく効率的に、迅速さと正確さの両方をもって行えるようになると、より多くの注文を受けられるようになるほか、顧客対応や販促施策の立案・実施など、注文の獲得に直結する工程に注力しやすくなるため、生産性や売上の向上が見込めるようになります。

このように、一見地味にみえるピッキングは、EC運営においてとても重要な作業なのです。

ピッキング作業の3つの種類

ピッキングの作業方法には複数のタイプがあるため、商品の形状や数量、運用手法などに合わせて適切なものを選んでいくことが重要です。種類は主に3つに分けられますから、ここではそれぞれについて整理していきましょう。

シングルピッキング(摘み取り式)

摘み取り式とも呼ばれるシングルピッキングとは、1つの発送単位ごとに倉庫から品物を集めてくる方法です。受注し、まとめて発送する分を1つにまとめて検品・梱包担当などへ引き渡していくため、出荷までを一つの作業流れに集約できる点がメリットです。

指示が出されてから出荷までのスピード感も高められ、間違いが判明した際の修正も比較的容易に行えるなど小回りが利く良さもあります。また、ごく単純な作業方法であるため、担当者のトレーニングにも時間がかからず、ミスを最小化しやすいことなどもメリットとなります。

一方で作業担当者が倉庫内を移動して商品を集めてくる必要があるため、受注した数、発送数と同じ回数分だけ移動距離と移動時間がかかってしまう点はデメリットです。とくに、複数の受注において同一商品の注文が目立つ場合などは、移動の経路が繰り返し重複するなど効率が悪く、無駄な作業が増えがちになります。

したがって取り扱う商品数が多く、多品種小ロットの商品出荷が主であるケース、注文により出荷商品のばらつきがあるケースに向き、一般的なBtoCのECサイトや通販で広く採用されています。

トータルピッキング(種まき方式)

トータルピッキングとは、複数の受注指示をまとめ、倉庫内から該当の商品を集めてきたら仮置き場や仕分け場に置いておき、そこで改めて受注ごと、発送単位ごとに分けていく方法です。種まき方式とも呼ばれます。

同じタイプの商品を一度にまとめて集めてくるといったことが可能で、受注数が多くても倉庫内の移動距離を最小限に抑えられ、作業導線が短く、担当者の負荷を小さくできるメリットがあります。

また、仕分け作業が終了した際に商品が残っていなければ、過不足なく商品を集められており、数量的には正確であったことが確認できるという良さもあります。これによって検品がしやすくなるでしょう。

デメリットは、ピッキング作業と別に仕分け作業を行う必要があり、作業工程が増えてしまう点です。別に担当者を置いたり、スキルとして身につけさせる指導が必要になったりします。作業効率上、受注が一定以上集まるまで作業を行いづらい面もあります。時間帯や受注量により、作業が止まる時間が発生する可能性も考えておかねばなりません。

このような特徴から、受注・発送の件数が多く、少品種大量出荷を行うケースに適しており、店舗や工場などへの配送を主とする物流センターなどでの採用が目立ちます。どちらかというと、個人のECなどより企業向けの方式といえるでしょう。

マルチオーダーピッキング

マルチオーダーピッキングとは、複数の受注分について商品のピッキングをまとめて行いつつ、仕分けも同時に行っていく方法です。いわばシングルピッキングとトータルピッキングを併用した方法で、両者の良さを併せ持つようになっています。

通常、受注数分のカートやコンテナなどを用意し、倉庫内で商品を集めつつ仕分けしながら入れていきます。仕分け場となるスペースやその担当者を確保する必要もなく、1度にピッキングと仕分けが完了できるほか、シングルピッキングのように倉庫内を何度も移動する面倒が生じません。そのため作業効率が高く、人件費も抑えられるメリットがあります。

一方、ピッキングと仕分けを同時に行うという特性上、担当者の人的ミスが生じやすくなるという点はデメリットとなります。そのまま出荷されると誤出荷となり、返品対応や再送による往復送料など無駄なコストと手間が発生してしまいます。リスクが高いことを踏まえて、より確実な検品を実施することが重要です。

倉庫環境としてある程度広さがあり、受注数も多い場合には、このマルチオーダーピッキングが向いています。

ピッキング作業効率化のポイント

ピッキング作業には、およそ特別なスキルが必要なく、基本的なルールを覚えれば誰でも従事することが可能です。しかし、そうした単純作業であるがゆえに人的ミスが起こりやすいため、定期的な注意喚起を行ったり、確認を徹底したりすることが欠かせません。

そうした対策を行っていても、正確性や迅速さに課題を抱えているEC事業者の方も多いでしょう。そこで、よりうまくピッキング作業を進める、効率化のポイントをご紹介します。

作業指示書を最適化する

ピッキング作業は常に指示書をもとに行うものです。この指示書が作業内容や環境に適していなければ、当然、正確性や効率は低下してしまいます。最短ルートを考慮したリストアップで作成する、ミスの起こりやすいポイントや商品を特定しやすい情報は目立つ表示にするなど、ちょっとした工夫を施すことで大幅にピッキング作業を改善できる可能性があります。

商品数が多く、処理規模も大きくなってきた場合には、リストと商品の目視確認が困難になりますから、バーコードを用いるのも効果的です。作業指示書にバーコードを印字・出力し、ピッキング時に各商品のバーコードを読み込んで連動させるといった仕組みにより、正確性を高めることができます。

倉庫環境を見直す

倉庫内の環境を良くしておくことは、ピッキング作業において非常に重要です。整理整頓をしっかりと行い、担当者が無理なく移動できる作業導線を十分に確保しておきましょう。ピッキングでカートを用いる場合や、比較的大きなサイズの商品も扱う場合などは、通路幅に余裕が出るよう調整することも大切です。

作業担当者同士がぶつかったり、先に来ている人をよけるために待つ時間が発生していたりする環境は適切とはいえません。どうしても棚間のスペースを広くとる余裕がない場合には、倉庫内を半分に分け、それぞれに担当を割り振った上で作業者の導線を固定し、衝突を回避するといった工夫が有効です。

物流現場では重要なポイントを5Sで表現します。この5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾を指します。商品があるべき場所にない、備品があちらこちらに散らばっている、ゴミが目立つといった環境は人的ミスが起こりやすく、効率も大きく悪化してしまうため、早急に改善が必要です。

担当者らも気持ちよく働ける環境とし、作業に無理なく集中できるようにしましょう。

ロケーション管理を適切に行う

ピッキング工程において、商品を探し出すことに時間を要している場合は、ロケーション管理の見直しを行いましょう。ここでいうロケーションとは、商品に対する保管場所の割り当てのことで、これを工夫することにより、探す手間と時間を削減することができます。

パターンとして、商品特性ごとに規則性ある保管場所を定めて固定管理する方法と、空き状況に応じて保管場所を変更していく方法がありますが、前者の場合は一度覚えると作業効率や正確性をアップさせやすいメリットがあり、後者の場合はスペースを有効活用できるメリットがあります。

いずれの方法を採用するにしても、定番商品や売れ筋商品は作業台の近くに定めたり、季節により売れ行きが大きく変化する商品は場所を定期的に変更したりといった工夫は有益です。出庫頻度を考えた配置で効率化を図りましょう。

また、保管場所の住所となる棚番を工夫し、「(棚番号)ー(段数)ー(位置)」といった記号や番号による整理を規則とすれば、一つ一つ商品を見なくともピッキングを進めることが可能になります。担当者らに規則を周知し、こうした仕組みを導入するのも良いでしょう。

管理システムを導入する

在庫管理システムや倉庫管理システム(WMS・Warehouse Management System)を導入すると、商品の保管場所や在庫数が簡単に把握できるようになり、ピッキング作業の効率化も実現しやすくなります。

これらシステムは、リアルタイムに在庫の保管場所と入出荷履歴の管理、在庫のチェックなどを実行し、一元管理を可能にするもので、物流業務の自動化・最適化に寄与するよう設計されています。人手不足に悩んでいる場合にも、うまくピッキング作業を進めやすくなるメリットがありますが、システムとして導入コストが発生するため、費用対効果を検証することも必要です。

物流として外部委託する

作業そのものを自社で抱え込まず、物流代行業者に外部委託する方法もあります。外部委託を行えば、自社では導入が難しい高度なシステムや専用機器による、ピッキングを含めたEC物流の最適化が図れるため、効率化だけでなく作業品質全体を向上させることができます。

ピッキングや梱包作業はEC運営に欠かせない工程ですが、これらに手がかかりすぎ、より本質的な業務への取組を圧迫するようになっては、せっかくの努力も台無しです。外部のプロに委託すれば、ピッキングのミスを最小限に抑え、自社の負担を大幅に減らすことができるでしょう。

委託先との情報共有を密に行うことや、サービス内容をよく確認して選定し費用対効果の面でも妥当な業者を利用することなど、注意すべき点もありますが、ピッキング作業関連に悩みを抱えているなら、外部委託も一案になります。

委託したら商品開発や販促などのコア業務にリソースを集中させ、EC運営全体の最適化、生産性向上を図りましょう。
ECサイト運用の業務内容についての記事はこちら

まとめ

ピッキング作業は単純な工程ですが、EC運営における重要なプロセスであり、正確性と迅速さが強く求められます。

この工程が疎かになると、人的ミスによる商品の取り違えが発生し、誤出荷・誤配送を多く招いてしまいます。また、たとえミスは少なくても、非効率的で無駄の多い作業方法ではリードタイムの長期化につながり、顧客満足度は低下してしまうでしょう。いずれも売上に影響を与えうる深刻な問題です。

ECのプロでは、ピッキング作業も含めたECの運用を、専門的な知識と豊富な経験を持つプロフェッショナルが支援し、最適化するサービスを提供しています。現状にお悩みがあるなら、一度プロの意見を参考にしてみませんか?関心のある方は、ぜひこちらのフォームから無料相談をお申し込みください!

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