【顧客分析のプロが語る】定性情報(ユーザーインタビューなど)を施策につなげるポイントとは

2023-11-01

はじめに

みなさんこんにちは!ECタイムズのみなつです!

日々ECサイト運営で奮闘されている読者の皆様に、突然ですが質問です!
「自社のお客様はどのような方が多いですか?年代、性別だけではなく出来るだけ具体的に教えてください」と聞かれたら、どのように答えますか?

「あれ、お客様のイメージ像って意外と具体的には思い浮かばないなぁ…」
そんな皆様の心の声が、私の耳まで届いてます。
今回は、ECのプロのKOさんにインタビューを行いました。

以前取材したFAR EASTさんの事例も踏まえて、ECサイトにおける顧客分析の手法や施策への活かし方を紹介してもらいます。

KOさんのご紹介

これまでのご経歴

⸺本日はよろしくお願いします。初めに自己紹介とご経歴をお願いします。

KO:キャリアとしては、新卒でECやメディア支援事業を行う企業に入社し、アパレル系の小規模ECサイトを1人で運営していました。受発注対応、販促から、CS業務まで一通り経験し、ECでモノが売れる流れを学びました。その後、ECの全体感がふわっとつかめた一方で、よりマーケティングの専門性を高めたいと思い、運用型広告の代理店であるアナグラムへ入社。運用型広告の知識と経験はもちろんのこと、本質的なマーケティング思考を学びました。

その後、一つの事業に対し全力で身を投じてみたくなり、おやつの定期便事業をメインとするスナックミーに転職しました。新規集客の全体を担いつつ、プロダクトをグロースさせていくためいろいろ動いていました。

現在は独立し、自社プロダクトの準備をしつつ、個人でマーケティング・ECのコンサルタントとして活動しています。

⸺ECに興味を持ったきっかけや、ファーストキャリアとして選んだ理由は何でしょうか?

KO:実家が長崎でお菓子屋を営んでおり、幼少期からお店の手伝い(邪魔)をよくしていました。笑

なので、無意識ですが小売業に親しみがあったんです。そんな中、お客様の顔が見えないのに商品が売れるネット通販の世界に興味がわき、ファーストキャリアとしてEC業界を選びました。

KOさんが今一番関心を持っていること

⸺EC業界や、それ以外の個人的な部分でも何か注目されているトピックはありますか。

KO:個人的に美味しい物が好きで、食品関連のトピックは積極的に収集しています。トレンドが盛んに入れ替わる業界なので、「これは流行りそうだな」と心の中で呟きながらよくフィールドワークしています。ほぼ趣味ですが。笑

マーケティングやEC業界では、コロナ禍が収束しつつあることを踏まえ、実店舗とECの連動、引いてはOMOに注目しています。実店舗での体験はオンラインでは再現できない高揚感や魅力があり、オフライン/オンラインが分断されないシームレスなOMO顧客体験の重要性はさらに増すと実感しています。店舗とECに限らず、オンとオフを分けず1つの顧客体験として提供されているブランドの施策なんかをよく探してます。

⸺なるほど!KOさんは様々な知見をお持ちですが、日頃の情報収集はどのように行っていますか?

KO:WEBメディアやSNSが多いですが、自分の足で稼ぐことが一番好きです。

特に、案件やクライアントに関係する場所にはよく足を運びます。客層や雰囲気を感じつつ、店員さんと話をしたりすると新しい発見がよくあります。

実際に体験した上での発言は説得力が違うので、仕事にもいい影響がありそうです。

あとは、体系的に学ぶために、マーケティングに限らずよく本も読みます。How to本よりも、古典的名著や学術書(初級〜中級くらい)が多く、本質的なことを理解するのに役立っています。

FAR EASTさまの事例について

活動内容、工夫した点

FAR EAST様の記事はこちら

⸺以前、ECタイムズで取材したFAR EASTさまでの活動について聞かせてください。始めはどういった形でスタートされたのでしょうか。

KO:まず、実店舗に行き、ブランドの世界観や接客、プロダクトの品質の高さを実感しました。その上でECを見ると、ECではお客様に魅力を伝えきれていない現状がありました。

実店舗だとお客様に合わせた1to1コミュニケーションがとれ、おすすめや説明ができます。しかし、ECでは来店したお客様がどんなお客様か実店舗ほどわかりません。加えて、一人一人に合わせた接客も難しい。

そういった、現状や実店舗とECにおける環境の違いを理解してもらうことからスタートしました。

動き出しとしては、ECの接客レベルをあげることから始めます。ここでいう「接客」は、EC上のコンテンツと導線、表示方法などを指しています。(カスタマーサポート的な話ではありません)

店舗では素晴らしい接客技術をお持ちでしたので、店舗の接客をECに翻訳するイメージで着手します。

例えばトップページの場合、店舗では入り口にあたります。入店時、何のお店なのか、全体を見回してどこに何がありそうかお客様に伝える必要があります。なので、ECのトップページもお客様に気づいてもらいたいもの、お客様が見たいものを整理し、コンテンツの配置や説明テキスト、写真などの見直しをしました。

⸺お客様が見えないオンライン上では、ページを充実させないといけないですね。コンテンツを作る上で意識した点はありますか?

KO:大事なことは「誰にどう思ってほしいか」を考えることです。単に情報を並べるだけでなく、どんなお客様にどう受け止めてほしいかを考えコンテンツを作っていくことです。

どんなお客様がECに来店しているのか、どのような情報が求められているかを知る必要があります。

購入者アンケートを実施した結果、実店舗を経由しECへ流入するお客様が多いとわかりました。そんなお客様にECで購入する魅力を感じてもらいたい。であればネット限定商品を大きく表示したらどうか、購入する商品を決めてからの来店も多そうなので、カテゴリーをトップページ上部におくのはどうかと、良い接客案が生まれてきます。

まずは、人数が多い属性のニーズから取り組み、徐々にミクロなニーズにも対応を考えていくことで、ECの接客はかなりよくなると思います。

商品詳細のコンテンツの量・質を上げることも有効です。食品の場合、オフラインであれば、香りや試食が可能ですが、ECではサイト内に限ると視覚(あれば聴覚)から魅力を感じてもらうしかありません。なので、魅力的に感じるかは商品写真/動画のビジュアル、商品詳細のテキスト、それらを組み合わせるデザインにかかっています。ただ、商品数が多い場合、人的リソースと時間、外注すればコストがかかり、わかっていてもなかなか進まないものですよね。

例えば売上構成の割合が高いものから始めるなど、優先順位をつけて細切れにやっていくことをおすすめしています。

ユーザーインタビューの意義

⸺FAR EASTさまより、ユーザーインタビューでお客様を分析することを大事にされていたと伺っています。やはり直接お客様の声を聞くと、見えてくるものは違うのでしょうか。

KO:そうですね、お客様はどのような人ですかと聞くと定量情報を元にしたざっくりイメージをおっしゃることが多いです。この状態だと施策が大雑把になりやすい傾向があります。

例えば、「20代の女性」に対して書いた文章と、「常連のAさん」のために書いた文章では全く違うものが出来上がりますよね。それは、対象者の彩度が全く違うからです。お客さんの彩度をあげるには、ユーザーインタビューが欠かせません。

話が飛びますが、マーケティングという業務の根本は「誰に何をどのように伝えるか」だと思います。「誰に」に関しては、まず顧客を定量データを使って分類し、定性データでグループ化していく。このグループ化を精緻にする役割がユーザーインタビューです。グループ化できると、「誰に」が「20代・女性、健康志向」から、「購入回数◯回以上でロイヤリティ高、健康意識が高く普段から原材料、栄養成分を確認、しかしダイエットはしていない女性」に変わると、「何をどのように伝えるか」も変わってきますよね。「誰に」がふわっとしてると、「何をどのように伝えるか」もふわっとする相関関係があるので、最初に施策が大雑把になるといった所以です。

⸺精度の高いコンテンツを提供し続けられると、売上UPに役立つだけでなくリピート率も上がりそうですね。結果的にファンになるようなお客様を増やすことにも繋がるのでしょうか。

KO:そうですね、つながると思います。ただ、全員をファンにしようとしないことも大事です。全員に好きになってもらおうとするのではなく、ファンになりやすいグループ、行動トリガーをできるだけ知っておくこと。もちろん、ファンにならないから手を抜いてもいいというわけでは決してありません。実店舗でお客様の行動や態度をみて接客にも濃淡があるように、オンラインでもファン化のフラグを見逃さないようにしたいものです。

⸺サービスを提供する側だと、皆さんに好きになってほしいという思いがどうしても出てしまうのはとても共感できます。ですが、その全員がファンになることはあり得ないという考え方は、どの商材・サービスでも当てはまると思います!

EC事業者の抱える課題

⸺多くの企業さまの支援に携わっている中で、感じられている課題はありますか?

KO:直近、情報が先行しすぎて本質を見失っている場面によく出会います。

例えば、LTV(顧客生涯価値)を最大化しようというトレンドがありますが、簡単にKGI(経営目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)にLTVを含めない方がいいです。理由としては、まずLTVは関わる変数が多いこと、正しいLTVの測定には数年の期間、IDベースの計測が必要になります。事業が始めたての段階や、計測環境が整っておらず過去数値がない状況でのLTVはほとんど意味を成しません。

一例ですが、まずは、月別獲得ユーザーごとにF2転換率を目標値とする、半年後から月別獲得ユーザーのLTVを算出、2,3年経った時点で全体のLTV式を定義し、実数として算出するといった、フェーズに合わせた適切なKPI設定をすることが大切です。ただ、LTVはモニタリング数値として扱う方がいいのかなと個人的には思います。

他には目の前の数字を追うあまり、値下げやクーポンなど即効性のある施策を多用し、将来の利益を先細りさせてしまうケースもよくみられます。

自分で小さいながらも事業をする上でキャッシュフローの大切さを実感しており、その点セールやクーポンも有効な手段ではありますが、用法用量には注意が必要です。

KOさんのマーケターとしてのこだわり

KOさんの仕事への熱量の源

⸺企業様のお悩みを解決するために様々な視点からご提案をされていますが、その原動力はどこからきているのでしょうか?

KO:う〜ん、シンプルに「人の役に立ちたい」という思いかなと。そもそも、自分のために動くよりも、誰かのために動く方が好きで気合いが入ります。喜ばれたり、感謝されるともちろん嬉しいです。現在の仕事で、最も嬉しかったことは、ご一緒した方が社内で認められ昇進したり、賞賛を受ける姿をみられたことです。人の役に立つといろんな形で自分も嬉しい気持ちになれる、この循環が原動力なのかもしれません。

また、ご一緒する中でバイアスに気づく瞬間も好きですね。
例えば、とある企業で職人さんが考える普通とは違うこだわりを反映した商品を販売していました。私がアンケートをとることをおすすめしたところ、アンケート結果ではそのこだわりが逆に低評価の原因で、裏目になってしまっていたことがありました。作り手が良いと思っていても、顧客にはマイナスに捉えられることもある。顧客の声を聞く大事さに気づいてもらえた時には、自分の介在価値を感じることができやりがいになっています。

今後の目標

⸺では最後に、KOさんの今後の目標について教えてください!

直近では、定性と定量の両視点をバランスよく意識したマーケティング支援で、より社会に貢献していきたいと考えています。あとは自社プロダクトを早くローンチすることです。

MAやBIツール、ビッグデータの活用など定量的にお客様を分析する手法は大きく発展しました。なので、次は定性データを上手く掛け合わせるフェーズです。

本質的なマーケティングを大切にしつつ、企業とお客様がより良好な関係を築けるよう、マーケティングコンサルティング、支援も引き続き行なっていきます。

おわりに

いかがでしたか?

ツールやロジックなど定量的な要素だけでなく、ユーザーインタビューや直接足を運んで感じたことを掛け合わせて、顧客に寄り添った施策を行っていることがよくわかりましたね!

KOさんのようなプロに自社のマーケティングをお任せしたいという方、ぜひ下記のフォームからお問合せくださいませ!

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